心理カウンセラーってなんだ|精神科医と臨床心理士と心理療法
こんにちは。
今回は「心理カウンセラー」という職業について、少し整理をしておきたいと思います。
心理カウンセラーという職業
さて、突然ですが「心理カウンセラーという職業ってなんですか?」と尋ねられたらどう答えたらよいでしょうか。
じつは答えはシンプルで、「”自称”心理カウンセラー」であれば、心理カウンセラーと言えます。もう少し説明すると、日本には「心理カウンセラー」なる資格はありませんので、自分で名乗ってしまえば、それで構わないわけです。
さらに言えば、「”自称”心理カウンセラー」なわけですから、職業として何をやるのも自由です。たとえば、手相を診る心理カウンセラーでもいいし、守護霊をカウンセリングしてもいいわけです。倫理的にということを置いておけばの話ですが。
肩書に「○○心理カウンセラー」とある場合は、ほぼ”自称”であることを知っておくと、冷静に疑問を持つことができるようになるのではないでしょうか。
心理職のうち”治療(介入)”に携わる立場(職業)
先に「心理カウンセラー」というワード(職業)を紹介しましたが、実際にメンタルヘルスを損なっている人に対し、治療的に関わる立場(職業)を大雑把に紹介すると、下記の図のように3つくらいに分けられると思います。
「心理職のうち治療(介入)*1に携わる立場(職業)」と言ってもよいでしょう。
a.精神科医
精神科医は、外科や内科の医師と同様に医師免許(国家資格)を持っています。というよりも医師免許を持った者で精神科を自分の診療科として選択した人のことを精神科医と呼びます。大学の医学部で養成されるところが特徴的です。
精神科医は精神医学を学んだうえで診療し、診断を下し、投薬を行います。治療の一環として、話を聞くカウンセリングも行ったります。
b.臨床心理士
臨床心理士は、指定された大学院(修士)*2を修了することでその受験資格を得られ、資格試験に合格すれば臨床心理士の資格を得ることができます。ただし、この資格は”公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会”の認定する民間の資格です。
臨床心理士は指定された大学院で養成されるところに特徴があるといえるでしょう。また、その業務については、「臨床心理士資格審査規程」第4章に次のように規定されています。
臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助及びそれらの研究調査等の業務を行う。
c.心理療法家
心理療法(サイコセラピー)というのは、医師の行う医療行為でなく、
物理的また化学的手段に拠らず、教示、対話、訓練を通して認知、情緒、行動などに変容をもたらすことで、精神障害や心身症の治療、心理的な問題、不適応な行動などの解決に寄与し、人々の精神的健康の回復、保持、増進を図ろうとする理論と技法の体系のことである。
心理療法家は心理療法を用いてクライエントの精神的健康の回復を援助する人のことです。歴史のあるものから最新のものまで多種多様な心理療法があり、各々の心理療法には学会があり(あることが多い)、指導者がいてそれを後進に伝えていくことを行っています。これらは大学とは直接関係のない組織で、個々人がその関心によって参加しています。
精神科医兼心理療法家もいますし、臨床心理士はいくつかの心理療法に習熟しておく必要があるでしょう。もちろん医師資格も臨床心理士資格も持たない心理療法家もいます。以下に著名人を数例挙げてみましょう。
フロイト(1856-1936)
フロイトは精神科医でありつつ、「無意識の世界」を発見し「精神分析学」を創始しました。精神分析学は大きな意味で心理療法といってもよいと思います。*3
メラニー・クライン(1882-1960)
医師ではなく、精神分析家の資格以外は持たない臨床家として活動しました。遊戯療法を用いて児童に対する精神分析を行い、クライン派とよばれる自身の学派を形成しました。
河合隼雄(1928-2007)
学位は”博士(教育学)”であり医師ではありません。ユングの創始した「分析心理学」をスイスで学び、箱庭療法*4を日本に紹介しました。臨床心理士の資格を整備したことも大きな業績のひとつです。
まとめ
心理カウンセラーという職業は自称です
クライエントに対し、精神的・心理的な治療(介入)をする人は大雑把に3つに分類できる
それは”精神科医”・”臨床心理士”・”心理療法家”です
今回はここまでに。