スペクトラムに量子的

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スペクトラムに量子的

臨床心理学について書くブログ

「臨床心理学」の定義について

こんにちは。

今回はあらためて「臨床心理学」の定義について学んだことをメモしてみようと思います。

臨床の視点から

「臨床心理学」は英語では「Clinical Psychology」とあらわされます。「Clinical」という言葉が「臨床」にあたるわけですが、簡単に言えば「問題を抱えた人を援助するための心理学」となるでしょうか。そこで扱う対象は人の「心の傷」や「心の病」であり、日本では臨床心理士がその業務にあたることが多いとされています。

人の「心の傷」や「心の病」を扱う職業と言えば「精神科医」も挙げられますが、医者は患者を「診断」し「治療」するところに特徴があります。一方臨床心理士は「心理査定」をし、「心理面接」を行います(臨床心理士資格審査規定による)。心理士は病名を特定するわけではなく、クライエントの心理特性を把握します。

そして、抱えている問題に介入して援助するわけですが、援助のプロセスでは「クライアントとセラピストとの相互作用」を重要な要因とします。そこをきっかけとして、クライアントが苦痛に耐えたり問題行動を克服したり人格的な発達を援助することが臨床心理士の業務といえるでしょう。

学問の視点から

臨床心理学は「心理学」の一分野です。さらに心理学は「科学」の一分野であり、物理法則を研究する「物理学をモデル」としています。物理学は実験を通して物理法則を明らかにしてきましたが、臨床心理学は人の「心的現象」を取り扱っており、通常の科学の研究とはその手つきが必然的に異なってきます。

たとえば、熱いとか寒いとかの感覚や喜怒哀楽の感情について「どう感じているか」を厳密に測定することはできません。しかしながら、研究手法の発達によって、知能指数や鬱の程度を数値化することが可能になってきました。そうすると一見、物質科学的な方法論で心的現象を捉えることも可能であるように思えます。

とはいえ、そうした数値は、複雑な心的現象のある部分のある側面を捉えられる範囲で数値化しただけということも事実です。現状では、物質科学的な方法論だけでは捉えられないのが心的現象であることは自覚しておくべきしょう。

歴史の視点から

臨床心理学という学問が成立する以前にも心理臨床といえる営みはありました。たとえばシャーマンや僧侶などの活動がそれにあたります。20世紀に入ると、フロイトが無意識に着目し、力動的な心理療法精神分析)を提唱し、続いて1950年頃にロジャースがクライエント中心療法を提唱するという流れになります。

一方では実験的な心理療法という流れがあります。これはヴントが実験心理学を創設し、1950年頃からの行動論的心理療法につながっていきます。そして力動的心理療法と行動論的心理療法が次第に統合されていくというのが大筋の捉え方ではないでしょうか。

さらには「伝統的なカウンセリング・心理療法は心理学を基礎としない」という考え方もあるようです。イギリスをモデルとし、科学的に実証されたアプローチ(例えば認知行動療法)を用いるべきという考え方がこれにあたります。EBA(Evidence Based Approach)と呼ばれているものです。

定義すると

さて、あらてめて「臨床心理学」を定義するとなると、以上の視点からも明らかなように、様々な考え方が存立していてなかなかかっちりとした定義になりそうもありません。とはいえざっくりとでも自分なりに把握はしておきたいので、勉強に使っている教科書のこれはと思える部分を引用して締めたいと思います。

臨床心理学は、人生における心の傷や苦悩、心の病の症状や問題行動の緩和や克服を目指す理論と実践を内包する学問である。臨床心理学は、概念的には心理学の一分野であるが、物質科学のパラダイムではカバーしきれない分野も扱うため、「科学」に含めるときには「人間科学」等の一分野とされる。

放送大学教科書「臨床心理学特論」p6

今回はここまでに。