スペクトラムに量子的

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臨床心理学について書くブログ

「臨床心理学」の各国における扱い

こんにちは。

今回は、「臨床心理学」の各国における扱われ方について簡単にメモしておこうと思います。

「臨床心理学」という言葉の始まり

「臨床心理学」という言葉はウィットマー(心理学者、米国)に始まります。彼はペンシルバニア大学卒業後ドイツへ渡り、ヴント(科学的心理学の祖)の下で学びました。学位を取得してペンシルバニア大学へ戻り、心理学を教えていましたが、心理相談の重要性に気づき1896年に大学内に心理相談室を創設しました。そしてこの心理相談室は、1907年機関誌を発刊し、これらの分野の学問を「臨床心理学」と呼称しました。

ドイツにおいて

ドイツでは「臨床心理学」ではなく「精神病理学」という呼称を使っており、病理学という言葉からもわかるように、その担い手は主に精神医学者でした。例えばクレッチマーは精神医学者でありながら、性格心理学の分野で体格と関連付けた性格類型論を『医学的心理学』という著書において紹介しています。

英米の比較

イギリスでは1950年以前では主に精神分析的な心理療法が中心でした。一方臨床心理学を下敷きにした臨床は、1947年頃アイゼンクがモーズレイ病院において始めたとされています。アイゼンクは行動療法に基盤を置き指導に努めました。『行動療法と神経症』などの著書にもその思想が見え隠れします。

次に英米での代表的なテキストを比較してみましょう。アメリカで代表的なテキストといえば『ヒルガードの心理学入門』が有名ですが、その索引には「clinical psychology」という言葉がありますが、イギリスにおける同様のテキスト『心理学』(アイゼンク著)には、見当たりません。

日本において

第二次世界大戦以前には「臨床心理学」という名称が見当たらず、戦後アメリカの心理学の強い影響を受け、日本の臨床心理学が発展したと考えられます。もちろん実質的な意味での心理臨床的研究は戦前にも行われていましたが。そしてはっきりとした形になったのは、1988年の「臨床心理士」の資格認証によってであると言えるでしょう。

今回はここまでに。